児童思春期外来コラム
児童思春期コラム
作業療法の温故知新 コラム
2023-01-12
新年あけましておめでとうございます。
本年も当院ホームページ児童思春期外来コラムをよろしくお願いいたします。
今回は少し時代を遡りながら作業療法のお話をさせて頂きたいと思います。
今から約60年ほど前の日本では農業が盛んであり、農家以外の自宅でも多くの作物を育てていました。また、その当時の子どもさんたちは、山や森での木登りや、川や海での水遊び、風呂を沸かすための薪割りをしたりと自然に触れ合う時間が生活の中に溢れていたとのことです。実際、私の幼少期時代には、毎週のように父の田舎に出向き、山や川で遊び、汚れた体で薪を割り五右衛門風呂を沸かし、入浴後は祖母の育てた新鮮な野菜を食べていたのを記憶しています。しかし、現代では、スマホや携帯ゲームの普及も影響してか、山での木登りや、川での水遊びなど自然と触れ合うダイナミックな遊びや様々な感覚を刺激する遊びが少なくなっているように感じます。また、スーパーマーケットの普及により新鮮な野菜はどこでも簡単に手に入るようになり、畑を所有する人々は減少し、子どもさんたちが土に触れる機会はなくなっているように感じています。更には住環境の変化・進歩に伴い薪割りなど生活の中で自然と体幹を強化していた作業もほとんど見られなくなっています。実際、当院に来院され受ける相談の多くに「手先の不器用」や「姿勢の悪さ」があります。また、多くの子どもさんは遊びの幅が狭く、自然と触れ合う機会や経験が少ない印象を受けています。そのため、外来作業療法では個別性を活かし園芸やトレッキングを模した作業療法を一部の子どもさんに導入しています。では、なぜそのような相談に対し園芸やトレッキング(自然のなかで散策)を模した作業療法的介入を行うのかを説明したいと思います。子どもさんたちが、作業療法での園芸を通して野菜や花などの植物を育てるということは、今日の日差しはどうだろう、水を欲しがっていないだろうか、肥料は足りているだろうか、虫がついていないだろうか、ことあるごとに植物の心配をし、世話をしなければいけません。それは少し面倒なことではありますが、植物を育てるという行為がやがて思いやりの心を育むきっかけになればと考えています。また、相談を多く受けている「手先の不器用」や「姿勢の悪さ」などの悩みに対しても、足場の悪い土壌でクワを打つことや、クワを離さないようと手を強く握りこむため、手先の操作に必要な握力やクワを振り上げる動作等が各関節を刺激するアプローチとなります。更には整地されていない畑や自然の中でのトレッキング模した作業を行うことで、バランスを崩さないよう足の裏から脳へ適度に感覚刺激が入り、体幹の強化・バランス力など様々な体や脳の成長を促す手助けとなりうると考えています。その作業活動は時代に逆行しており、少し古臭いようですが実は子どもさんたちの体の成長発達や経験に必要な作業活動がたくさん盛り込まれたものだと考え導入をしています。
先にも述べましたが、現代社会において、スマホ・パソコン・インターネット・ゲームなどが普及し、便利さは数十年前とは比べ物になりません。しかし、多くの子どもさんたちのストレスは軽減するどころか増加しているように感じます。そもそも、日本人は畑や田んぼで食物を育て生活を成り立たせていた農耕民族です。実は、その遺伝子は現在でもしっかりと日本人のDNAに残存しているため土に触れるなどの五感に触れることで自然と心が癒されると言われています。発達支援のツールとして、また、スマホやストレスで疲れた頭を少し休めるためにも、園芸(家庭菜園)やトレッキングなど自然との触れ合いをご家庭でも挑戦してみてはいかがでしょうか。
先にも述べましたが、現代社会において、スマホ・パソコン・インターネット・ゲームなどが普及し、便利さは数十年前とは比べ物になりません。しかし、多くの子どもさんたちのストレスは軽減するどころか増加しているように感じます。そもそも、日本人は畑や田んぼで食物を育て生活を成り立たせていた農耕民族です。実は、その遺伝子は現在でもしっかりと日本人のDNAに残存しているため土に触れるなどの五感に触れることで自然と心が癒されると言われています。発達支援のツールとして、また、スマホやストレスで疲れた頭を少し休めるためにも、園芸(家庭菜園)やトレッキングなど自然との触れ合いをご家庭でも挑戦してみてはいかがでしょうか。
作業療法士