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児童思春期外来コラム

児童思春期コラム

当院でのこどもの診療について

2022-05-30
 当院では令和2年4月から児童思春期の外来(小児心療内科/児童精神科外来)を開設しました。現代社会においてはインターネットの普及、価値観の多様化など大きな変化が見られ、こどもはより刺激が多く、ストレスフルな時代を生きています。それがゆえにこどもの心療内科、精神科受診は増加の一途をたどっています。

 例えば不登校を考えてみます。親世代では不登校で病院に相談するなどはなかったかと思います。不登校は病気ではないからです。しかし当院には不登校の相談が多くあり、これは当院に限らず全国各地で見られる現象です。医療は不登校のすべてを解決できるわけではありません。不登校の背景に医療的な問題がないかを保護者と一緒に考え、医療的なアドバイスを行っていきます。不登校は病気ではありませんが、背景に病気や障害があるケースがあるということです。しかしこどもの病気や障害はそれほど多くはありません。多感な時期でもあり、病気や障害ではなくても、思い悩んだり、情緒的に不安定となることも多いはずです。病院がそうした悩みの相談窓口となれることもあります。そうした役割を担うひとつに病院もあるという時代になっているのです。
 当院では病気、障害は少なく、情緒的問題が多いという考えから基本的にはいきなりの薬物処方は行いません。(すでに処方済みの患者さんの紹介や状態が悪く速やかな対応が必要な場合を除く)薬が必要であると考えるケースについてもできるだけ最小限にし、多剤併用にならないようしています。年齢に応じたこどもの好きな話題や遊びなども通して関係づくりを行いながら、検査などを必要に応じて行い、医療的な診断・治療が必要かどうか、病院が相談窓口となりうるかなどを考えていきます。またこどもの生活の場である学校の協力を得るため、学校と連携を行ったり、節目(進学や就労)での助言、支援、福祉との連携なども行っています。こどもの問題は医療だけで解決することは少なく、教育、福祉との連携も必要なことが多いからです。
 こどもには成長という武器があります。以前は問題であったことが解決してしまう、また逆に新たな問題が出てくるということは多々あります。取り巻く環境は成長に伴い目まぐるしく変化します。こうしたことから当院ではなるべく継続してかかわれるようご家族と相談しながら再診を設定しています。お付き合いが長ければ長いほど、こども、保護者ともに相談しやすく、節目においてより適切に助言ができると考えるからです。
「こどもが何に悩んでいるかを感じ取り、それを共有して一緒に解決方法を考えていく」ことをゴールに、幼少期から大人になるまで切れ目なくかかわっていきたいと考えています。
医師


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