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児童思春期外来コラム

児童思春期コラム

当院の心理検査について コラム

2022-10-28
当院の心理検査について

 当院では、医師によって必要と判断された患者様に対し、心理検査を実施しています。今回は、当院で行っている心理検査に関する話題をお届けします。

(心理検査の目的)
 そもそもどういった場合に心理検査は行われるのでしょうか。私たちは、最初から「とりあえず心理検査をやってみよう」といった流れで検査を計画することはありません。まずは、患者様の困りごとや必要としていることを確認することから始めます。例えば、学習面でつまずきがあり、周囲からも「理解力に問題があるのではないか」と指摘されているこどもさんが居たとします。相談を受けた私たちは、保護者様や周囲からの情報を整理し、こどもさん本人からも話を聞きます。その上で、「心理検査を実施することが本人のために有益である」と判断された場合に検査を行います。この例であれば、知能検査を実施し、知的能力水準や知的能力のバランスなどを客観的に把握することが、今後の支援のヒントになる可能性が高いでしょう。心理検査を通して、本人の困りごとをより具体的にキャッチ出来るようになることもあります。支援をより良いものにするための材料として、心理検査は行われています。

(心理検査の種類)
 心理検査といっても、種類はさまざまです。今回は、当院の児童思春期外来でよく使用されている心理検査をいくつかご紹介します。それぞれのニーズに合わせて、複数の検査を組み合わせて実施されることもあります。

◎知能検査:WISC-Ⅳ、WAIS-Ⅲなど
 本人の知的能力を測定し、IQ(知能指数)といった指標で結果が示されます。行動観察や能力のバランスから、本人の特徴を整理したり、支援のヒントを見つけたりします。

◎人格検査:バウムテスト、TEGなど
 本人の現在のこころの状態を客観的にとらえることを目的とした検査です。絵や文章を書いてもらうものや、質問項目に答える形式のものもあります。

◎各種チェックリスト
 当院では、こどもさんの様子をより詳しく知るために、周囲からの情報を集めることがあります。その際には、学習や行動に関するチェックリストへの回答を保護者様を含む周囲の方に依頼しています。その他にも、自己記入式のチェックリストや保護者様に幼少期の様子を聞く検査など、様々な種類があります。

(心理検査の費用)
 心理検査の中には保険適用で費用が発生するものもあります。具体的な費用に関しては直接担当者までお問い合わせください。

(心理検査を実施する時に大切にしていること)
 私達は、本人が希望しない心理検査を無理に実施することはありません。小学生のこどもさんなどでは、心理検査を実施する意味が理解出来なかったり、心理検査を実施することが決まっても、なかなか取り組むことが出来なかったりする方もいます。そういった場合に、当院の検査者は、まず本人と関係を構築するところを目標にしてかかわります。そして、「この人だったら検査を受けてもいいかな」と思ってもらえるようになったタイミングで検査を実施しています。関係構築が出来た上で検査を実施した方が、本人の特徴をより詳しく知ることが出来たり、本人も普段通りのパフォーマンスを発揮しやすいという側面もあります。
 また、こどもさん本人や保護者様へ結果をご報告する時間も大切にしています。心理検査というと、数字や結果に目が行きがちなところですが、私たちは心理検査から得られた情報をどんな風に活かせるかを重要視しています。結果をご報告させていただく中で、支援のアイデアを共有したり、環境調整の具体的な案を保護者様と一緒に考えたりすることもあります。

 私達が扱うのは心理検査で見ることの出来る部分に限られます。見える部分が限られているからこそ、今後のご本人様の生活に少しでも役に立てるよう、丁寧に扱うことを心がけていきたいと考えています。
 当院通院中の患者さまで、心理検査に興味がある方がいらっしゃいましたら、当院心理担当にお声掛けください。

公認心理師・臨床心理士



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